映画「ワンダー 君は太陽」は実話なのか?
主人公オギーの病名は何だったのか?
オギーの病気に、ジャックはなぜ悪口を言ったのか?
なども解説します。
「ワンダー 君は太陽」は実話?
2018年公開の映画【ワンダー君は太陽】
映画には『実話の部分』が含まれています。
原作者のR.J.パラシオが体験した気持ちがキッカケでした。
全部がノンフィクションではありませんが、実話なのはどの部分解説していきます!
「ワンダー君は太陽」は遺伝子疾患により人とは違う容姿を持つオギーという男の子が主人公。顔を見た人から怖がられてしまうので、いつもヘルメットで顔を隠しています。そんなオギーが人生で初めて親元を離れ、学校に通い、沢山のことに挑戦していく物語。
原作者のR.J.パラシオが、物語のきっかけについてインタビューで語っています。
基になる人物や出来事はないけれど、顔に重度の障害を持つ子がきっかけで、対応に困られる側はどんな気持ちなんだろうと考えたの。探求としてだったのか、良い対応ができなかった償いのつもりだったのか…その日の夜に書きはじめた。(引用元:映画ナタリーインタビュー)
R.J.パラシオが、息子さんとアイス屋さんに行った時のこと。
オギーと同じように顔の骨格が変形している少女に出会いました。
まだ幼かった息子さんは、その少女の顔を見て大号泣。
叫んでしまったのです。
その時のことが深く心に残っていたR.J.パラシオ。
悪意がなくても、誰しもが経験する可能性がありますよね。
私は、R.J.パラシオは償いの気持ちだけで書いたのではないと思っています。
驚く側、驚かれる側、全く逆の立場だとわからないことって多いと思うんです。
想像しにくい、相手の気持ちを知れるようなきっかけ。
そんな何かを伝えたかったんじゃないかと思いました。
罪悪感なら秘めておきたいことかもしれない。
けれど、R.J.パラシオは違いました。
私は、R.J.パラシオは、どちら側にいる人も幸せに生きていけるようにと、この事を物語にしたのだと感じました。
「ワンダー 君は太陽」は実話? あらすじ(ネタバレ)
ジョン・マイケル・オズボーン(以下愛称オギー)は11歳の男の子。
スターウォーズを見て宇宙が大好き!ゲームもすします。
ただ、少し、オギーには人と違うところがありました。
遺伝子疾患により人とは違う容姿を持っていたんです。
人に顔を見せると怖がられてしまうので、出かける時は必ずヘルメットを被って顔を隠していました。
どこへ行っても怖がられ、学校にも行っていなかったオギー。
小学5年生で初めて『学校』へ行くことになります。
学校が始まる前に、3人の生徒が学校案内をしてくれることに。
ジュリアンという生徒はいじめっ子で、見るなりすぐにオギーの顔をバカにします。
その時、真っ先に助けてくれた男の子がジャック、のちに親友となる男の子です。
いじめっ子のジュリアンやその仲間はこぞってオギーをいじめ始めます。
それでもオギーはめげません!
得意な理科で手を挙げたり実験でも大活躍。
テストの時に、隣の席のジャックが問題を解けない様子を見て、先生の目を盗んでテストをカンニングさせちゃったり!
2人は意気投合し、毎日遊ぶようになります。
ランチも二人で食べたり、オギーもジャックのおかげで学校が少し楽しくなってきていました。
オギーはハロウィンが大好きでした。
みんな仮装をしているので、顔を隠していてもバレません。
何より、周りがみんなと変わらず接してくれるから。
あるハロウィンの日。
オギーがお化けの仮面を被って教室へ入ったとき、いじめっ子のジュリアン達とジャックがオギーの悪口を言っているのを見てしまいます。
オギーはショックでジャックのことを避けるようになります。
その時、オギーの所に来てくれたのがサマーでした。
オギーとサマーは仲良く遊ぶようになり、ジャックはジュリアン達と一緒にいるようになります。
しかし、ジャックはやっぱりオギーの事が大好き。
オギーに謝りに行き仲直りします。
楽しそうに遊ぶオギーやジャック、サマー。
それを観た周りもどんどんオギーと仲良くなっていきます。
それから年月が過ぎ、卒業式を迎えます。
卒業式では学校生活で最も素晴らしかった生徒に賞を授与する決まりがありました。
なんと選ばれたのはオギー!!
大好きなママとパパ、お姉ちゃん、友達。
オギーはみんなに笑顔で見守られ、賞を受け取るのでした。
「ワンダー 君は太陽」は実話?キャスト
ジュリア・ロバーツ【オギーの母、イザベル】
ジェイコブ・トレンブレイ【主人公、オギー】
オーウェン・ウィルソン【オギーの父、ネート】
ノア・ジュープ【ジャック】
ジュリアン【ブライス・ガイザー】
シャーロット【エル・マッキノン】
サマー【ミリーデイビス】 引用元:映画.com
ジュリアロバーツが母親役、主人公役はジェイコブ・トレンブレイ君です!
ジェイコブ君は、フリッツル事件を基に監脱走激を描いた作品「ルーム」に出演していた天才子役です。
「ワンダーきみは太陽」のインタビュー対談で、ジュリアロバーツとジェイコブ君から感じた共通の想いがありました。
書評で子供に買った本でこの物語を知り、今の若い子たちに届けたいと思った。人々に不可能はないと知ってもらうことができた。 引用元:映画.comインタビュー/ジュリアロバーツ
お姉ちゃんが学校の教材で読んでいてこの物語を知った。オギーは人のためにできることは何でもするし、絶対にあきらめない。「オギーは真のヒーローだ」 引用元:映画.comインタビュー/ジェイコブトレンブレイ
ジェイコブ君とジュリアロバーツに共通している想いは『人に希望を感じさせる物語』
だと思うんです。
私にとって、ジュリアロバーツは芯の強い母親役にピッタリのイメージでした。
ジュリアロバーツとジェイコブくんのインタビューをみた時、息がピッタリだなとも感じたんです。
まるで本物の家族のように視線の先に相手がいて、自然なやり取りがありました。
見ているこっちも温かい気分になります。
「ワンダー 君は太陽」は実話?ジャックはなぜ悪口を言ったのか?
親友にまでなるジャックとオギー。
あんなに意気投合していた2人。
ハロウィンの日、ジャックはなぜジュリアンたちとオギーの悪口を言ったのでしょうか。
ジリアンはいじめっ子です。
オギーへの対応を見ても、相当にひどくてしつこいことがわかります。
ジュリアンはお金持ちでもありましたが、ジャックは元々貧乏です。
この学校を選んだ理由も『奨学金を貰えるから』でした。
ジュリアンに弱みとして握られやすい環境であることも想像できます。
ネタがあれば、自分もいじめられるかもしれない。
本当は一緒にいたくてオギーと仲良くしてたけれど、個性的なオギーといることを『いい子ぶってる』と言われてしまうかもしれない。
私は、そんな様々な想いがぐちゃぐちゃになって、ジャックはジュリアンに合わせてオギーの悪口を言ってしまったのではないかと思いました。
ジュリアンはいじめっ子のボス的存在です。
歯向かうことは簡単ではないでしょう。
小学五年生、悪いことだとわかって止まるよりも、逃げ道のようにジュリアンに合わせてしまったのかもしれません。
自分の身を守るために、オギーの悪口を言ってしまったと考えられます。
ただ、1つ絶対に言えることは
『悪口を言いたくて本心から言ったわけではない』
ということ。
オギーが学校見学に来た時に、ジャックも校内を案内していましたよね。
ジャックの母が頼んだものでした。
母 『奨学金を貰っているのよ』
ジャック 『絶対嫌だ、断る!』
母 『あの子の為なの。アイスクリーム屋さんに居た。』
ジャック 『あなたの弟のような良い子でも叫んだ…』
(引用元:ワンダー君は太陽 セリフより)
奨学金を貰っているからと、学校案内を頼んだ母に、ジュリアンがいるから絶対嫌だと断っています。
結局、ジュリアンとジャックは決別します。
ジャックが、ジュリアンの身勝手でご都合主義の言動にブチ切れて、自己嫌悪で泣き出してしまったようなシーンもありました。
それくらい、人に対する思いやりの意識がジャックとジュリアンでは違っていました。
好き好んでいじめっ子になるタイプではありませんよね。
ジャックとオギーはその後、仲直りして仲間の輪も広がっていきます。
小学生であれ、当事者にとって、その小さな社会での経験は大きいものです。
この経験が、ジャックを本当に優しく強くしてくれていたら良いなと感じています。
「ワンダー 君は太陽」は実話? 病名、オギーの病気とは?
オギーの病気のことを『生まれつきの遺伝子疾患による病気』と映画では言っています。
この、オギーの病気は存在する病気でした。
オギーの医学上の設定であるトリーチャー・コリンズ症候群の子供たちを自ら訪ねてリサーチと交流を重ね、第90回アカデミー賞®メイクアップ&ヘアスタイリング賞にノミネートされたスタッフによる特殊メイクの力を借りて演じきった。(引用元:ワンダー君は太陽公式HP)
「トリーチャーコリンズ症候群」は、下に垂れ下がった目、下顎短小症、伝音難聴、頬骨の不形成、下眼瞼側面下垂、耳の奇形化または不形成が見られる。原因は遺伝子の突然変異。 引用元:Wikipedia
ボギーの病気は、「トリーチャーコリンズ症候群 」 という、実在する病気です。
家系に発症者がいる場合と、家系に発症者がいない場合があります。
発症者が他にいない場合は『孤発性』と言われ、染色体の変異で発症することもあると言われています。
オギーの場合、ストーリーの中でお姉ちゃんが『ママとパパの遺伝子で…私がなっていたのかもしれない』と話していることから「孤発性」による発症だったのではないかと思われます。
「ワンダー 君は太陽」は実話? 感想まとめ
この映画は、人の希望や、人の可能性に気付ける映画だと思いました。
映画のテーマは一見、見た目のようにも感じます。
けれど、それだけじゃありません。
勇気を出したり、過ちを悔いたり。
時には、社会に流されて自分の本位でないことをしてしまったり。
後悔することだってある。
日常にあふれていて、たくさんの人が経験する物語ではないでしょうか?
何かしらの障害を持っている人。
自分の容姿に自信がない人。
容姿のことでいじめられた事がある人、そうでない人。
いじめてしまった経験がある人。
どうすることが自然体がわからない人。
どう対応したらいいか、常に問い続けている人。
母として父として迷いを抱える人。
色んな人に向けての映画だと感じました。
ラスト、表彰式で、みんながオギーを笑顔で見守り拍手をしている時。
オギーは心の中で言っていました。
みんなの心の中を覗けたら、きっと普通の人なんて居ないと思う。
誰だって、一生に一度くらいは拍手を浴びるべきだ。
どんな人でも、人生の主役はその人自身です。
ずっと顔を隠し、家族以外と関わってこなかったオギー。
笑顔で自分に拍手を送るみんなの顔はオギーが自分で得たものです。
私は、オギーが自信をもって、それを理解したからこそ、出てきた言葉だと感じました。
誰もが心地の良い笑顔になれて、涙してしまいます。
自分もできることがある!
自分だって勇気はだせるんだ!
そんな前向きで温かい気持ちになれるお勧めの映画です。
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