プリデスティネーションは時間を移動するタイムパラドックスの物語。
時間を遡る制約を受けていないので未来の自分と過去の自分も接触します。
それゆえに、矛盾点があったり、難しいくなりがち。
前半は、あらすじや内容を時系列でまとめて解説、後半は矛盾点について考察しています。
プリデスティネーションを解説!
プリデスティネーションは時空移動が頻繁に起きる映画なので複雑!
映画を最後まで見ると繋がってくるのですが、タイムパラドックスの矛盾も多いんです。
映画鑑賞記録簿
No.502
【プリデスティネーション】(2014)
1970年、NY。とあるバーを訪れた青年ジョンは、バーテンダーに自身が歩んだ人生を語る……#映画紹介#映画好きと繋がりたい pic.twitter.com/dPAvgiP4BY— ひでじぃ (@paradox1042) August 31, 2024
回収のための伏線が多いので、ぼんやりとしてると回収を見逃しがち(笑)
一番難解なのは、誰が誰で、どこに繋がっているのか。
あらすじの流れや関係性がわからないと、混乱します。
まずは、映画の内容と登場人物の関係性を時系列で解説していきます!
登場人物の関係性とラストまでの時系列を解説!
赤ちゃん、ジェーン、ジョン、バーテンダー、フィズルボマー(追いかけてる犯人)は、すべて同一人物です。
時空移動で、くるくると巡っていてわかりにくいですが、この5役にそって関係性を並べました。
※カッコの中の数字は、その時系列に繋がっています。
1,赤ちゃんを乳児院に預けたのはバーテンダー。
2,赤ちゃんは成長して女性ジェーンになる。
3,ジェーンが出会ったのは過去にタイムトラベルしてきたジョン(出産のリスクで性転換され男性になっている)
4,ジョンとジェーンが恋に落ちる。
5,ジョンが未来の自分だとは知らないジェーン。愛したジョンが忽然と消え(11)ジェーンは出産のリスクの性転換手術で男性になる。
6,出産した赤ちゃんまで誘拐され(1)、更に、男性になったことで絶望し、酒場で未来の自分でもあるバーテンダーと出会う。
7,バーテンダーがタイムマシンでジョンを過去に連れていく(3につながる)
8,ジョンはかつての自分(ジェーン)が憎んでいた男は自分だったと気付くが、それでもジェーンと恋に落ちることを選択し逢瀬を重ねる。
9,バーテンダーは別の時間軸に移動し、赤ちゃんを盗み孤児院に預け(1)、更に時間を移動してフィズルボマーと決戦したり、違う時間軸で任務中に火だるまになったジョンにタイムマシンを握らせる。
10,バーテンダーはジョンに仕事を引き継ぐために、ジョンとジェーンが恋におちていた時間(8)へと戻る。
11,ジョンは仕事を継ぐ約束をしているバーテンダーに連れられて、別れも告げずにジェーンのもとを去る(5)この時、バーテンダーと自分が同じ人間であることも気が付く。
12,ジョンに仕事を託したバーテンダーはフィズルボマーを追って最後の時間移動をする。
13,フィズルボマーは、本来(11)の時点で停止するはずなのに壊れなかったタイムマシンを使って、様々な場所と年代に行き、犯罪を起こす人がいる場所に先回りして爆弾を仕掛けていた。
13,その事実に気付き半信半疑のバーテンダー。しかし、コインランドリーで出会ったフィズルボマーが未来の自分だと気付く。
14,バーテンダーの役目はフィズルボマーの抹殺。自分であると気付いても、フィズルボマーを撃ちつ。(実はその段階から、バーテンダーの脳は認知機能の異常がおこり、バーテンダーがフィズルボマーへと変化しかけていたのだった)
15,フィズルボマーの仕掛けた爆弾の暴発で、ジョンの顔付きが変わる。フィズルボマーを未然に止めるためバーテンダーとなり過去に戻って、ジョンと出会っていた(7につながる)
いやぁ…長いうえにややこしい!
私は、プリデスティネーションの厄介な所は、過去の自分と未来の自分が同時に存在できるところにあると思います。
未来の自分と過去の自分が、自分になる赤ちゃんを作っちゃうし。
気まずいったらないです(苦笑)
犯罪を防ぐために、犯罪を犯す未来の自分を消し去りにいく矛盾。
時空移動を何回もしたせいで精神異常をきたしてしまう主人公。
犯罪だと気づけないまま、犯罪阻止のために犯罪を犯して【自分=爆弾魔】になっちゃうし。
結局、タイムトラベルを繰り返し、過去の自分を痛めつけ、過去の自分に消される。
救いがないうえにややこしすぎるだろ!とツッコミいれてしまいました。
同じ人間なのに子供ができた理由を解説
ジョンとジェーンは同一人物なのになぜ子供ができたのか?
これは、タイムパラドックスであり伏線でもあります!!
実はジェーンは男女両方の生殖機能を持てる完全体の雌雄同体でした。
タイムトラベルしてきたジョンと出会ったときは女性としての発達で妊娠が可能でした。
ジョンは未来のジェーンですが、出産のリスクで女性の機能を取り除かれ、男性への性転換手術を余儀なくされていました。
年月が経ちジョンの体は男性としての生殖機能が認められるようになりました。
出会った時に、それぞれの生殖器官が備わっていたことで二人の間に赤ちゃんができたんです。
ジェーンだった時のジョンは何も知りません。
しかし、ジョンは自分自身がジェーンでもあることを知っていました。
過去から未来、未来から過去への流れを知っていて悩んだジョン。
それでも愛を届けたかったのではないでしょうか?
私は、ジョンはジェーンに愛を届けたいのと同時に、ジョン自身も愛されたかったのだろうな、と思いました。
完全体の雌雄同体だった一人の人間が、タイムパラドクスにより自分自身を出産。
憎まれる(憎む)とわかっていても、愛されることを望んだ主人公。
あるべき時の流れから外れてしまった不安定な自分自身を許容することだったのかもしれませんね。
フィズルボマーの正体を解説
フィズルボマーの正体は、なんと認知症になってしまったバーテンダーの未来でした。
バーテンダーでもあるジョンは自分自身であると知りながらフィズルボマーを撃ちます。
フィズルボマー撃ったことで自分自身の命が終わりを迎える。
…ハズですが、ここでもタイムパラドックス!!
なんと違う時間軸が始まるかと思いきや、まだループの中なんです。
フィズルボマー撃った後、頭を抱えて目つきが変わったバーテンダーの男の姿が映し出されます。
タイムトラベラーは時空移動を繰り返すと、認知機能がおかしくなり精神異常をきたすリスクが高くなります。
他の人よりも多く移動を重ねたバーテンダーの脳は限界を迎えたのでしょうね。
認知症になったことで「犯罪を防ぐ使命」という強い意志だけが残ってしまったんだと思います。
バーテンダーには犯罪の意識などないまま、フィズルボマーになってしまうというループ。
蛇が自分の尻尾を追いかけるように、再び時間の渦に飲み込まれてしまったように見えます。
若いジョンが、バーテンダーに「お前の目の中にも憎しみがある。憎しみに飲み込まれるぞ」と言っていたのを思い出しました。
あれはフィズルボマーとしての狂気への伏線だったのか。
あの時、すでに、バーテンダーの中の認知機能は異常をきたしていたのかもしれませんね。
矛盾点を解説!タイムパラドックスと伏線
ジョンが自分で自分を撃ったっことで未来は変わったのでしょうか?
タイムパラドックスから抜け出せたのか気になるところ。
ラストシーンから考察してみた結果。
残念ながら現段階では「過去も未来も変わっていない」ということ。
だからと言って「単調に終わった…」
と言う気持ちには一切ならないのがすごい!!
プリデスティネーション ☆4.2
『自分は元女で娘を攫われ性転換した』酒場の客の男の数奇な人生を聞いたバーテンは彼に自らの正体を明かす。
原作はハインラインの『輪廻の蛇』
爆弾魔を追う時空警察の男が辿り着く絶望の終着点。
必要最小限の登場人物で展開される複雑かつ予測不能な物語が見事だ。 pic.twitter.com/rh3Icw9IZJ— メガロドン将軍 (@GeneralMadsen) February 23, 2023
確かに、映画の中では未来と過去のループは変わっていません。
しかし、変わる可能性がないとは言い切れないと思ったんですよ。
私が「違う結末があるかも」と思った理由はロバートソン。
ロバートソンは明らかに時間ループという輪の中で何の変化もなく一定に存在しています。
それが違和感で、私には伏線のように思えたんです!
もしかしたら、ロバートソンがこの輪廻を終わらせる鍵なのでは?
プリデスティネーションというタイムパラドックス。
ジョンはこのまま、全てを諦めてタイムループに飲み込まれるのか
それとも、どこかの選択で抜けられると信じ諦めないと誓ったのか。
あの顔つきが変わる一瞬の間は、果たしてどちらだったのだろうか?
プリデスティネーションとは【宿命 先決 予定説】の意。引用元:Wikipedia
宿命であると同時に、予定説と言う意味もあります。
キリスト教において「救済の予定説」を意味しています。
最後にジョンの救済があるのかは、映画の中だけでは図れません。
バーテンダー(未来のジョン)はフィズルボマーになる前に、願ったのかもしれない。
同じ時間の流れを繰り返しながら、いつか過去の自分が選択を変えてくれることを。
どこかで終わりを迎えることを祈りながら、ジョンはループを続けているのではないか?
私はそんな風に感じて切なくなりました。
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