インターステラーの怖いシーンともいえる水の惑星での巨大な津波。大きな津波が頻繁に起こる理由と、水の惑星の1時間が地球時間の7年に相当する理由。実はどちらも、原因の根っこは同じなんです。
水の惑星の津波はなぜ巨大で頻繁に起こるのか?クーパー達が脱出に23年かかった理由も解説!
インターステラー/津波はなぜ起きたのか?
津波が起こる理由は、まず1つ、
重力と大きな関係があるということ。
ざっくりすぎる言い方にはなりますが『引力=重力』、
そして、地球での月の引力による潮の満ち引きをイメージするとわかりやすいです!
ミラーの星は超巨大なブラックホール「ガルガンチュア」の一番近くにある星でした。
【惑星の定義】惑星は太陽の周囲を公転し、その重力によって球形が維持できるほど大きく、その軌道近くから他の天体を排除していること、とされている。引用元:Wikipedia
太陽系ではないのですが、重力下と言う点で言えばガルガンチュアが代わりと言えなくもないからでしょうか?
良いかどうかの議論は別として、太陽をガルガンチュアに置き換えて考えてみます。
ミラーの星は超重力が強い場所で公転して、重力で落ちることなく同じ場所に存在を保てている。
つまり、水の惑星はガルガンチュアから受ける重力と全く同じ力量で引き合う力が発生しているのです。
更に、インターステラーの物理を監修したキップソーン博士が出版された本に書いていたのが、
ミラーの星(水の惑星)は潮汐ロックの状態である。引用元:The Science of Interstellarより抜粋
潮汐ロックは自転と公転が同じ間隔で動くので常に同じ面が同じ方向を向いたままの状態をさします。
同じ面が固定されたまま、ガルガンチュアの一番近い側面で「重力=引力」の影響を受けています。
同じ面が同じ方向を向き続けたままということは、均一な球体状に力は働きません。
強弱があって両端が一番強く左右に引っ張られます。
平面的なイメージになりますが、目の形みたいなものを想像してください。
不均一な力がかかり続けているので、動きも不安定な状態で揺れ続けます。
ミラー博士が探索していた水の惑星は水が豊富というより、水しかない星でしたね。
水しか入っていない入れ物を不安定にゆらゆら振り子のように動かしてみるとどうなるでしょう?
これこそが、水の惑星で頻繁に津波が起こっていた理由なんです!
インターステラーの津波はなぜ巨大?
ミラー博士が探索していた
水の惑星の津波は巨大で、とてつもない高さがありましたよね。
なぜ、約1000mという高さの津波なのか?
前章での解説した、津波が頻発していた理由を思い出してみてください!
水の入った入れ物を不安定に揺らす時、揺れる力が大きければ大きいほど、水表面の動きも大きくなりますよね。
不安定さが強く、ゆらゆら揺れる幅が大きければ大きい分、高い波になるということ。
津波は海底から海面までの海水全体が動くエネルギーの大きな波。引用:気象庁HPの説明より抜粋
もともと超強大なブラックホールに近い惑星で相当な重力がかかります。
引き合う力も相当の物。
そんな状態で起こる不安定な『潮汐ロック』で水しかない星の全体が大きく揺れ動くのです。
そりゃ、水が動く力も大きいわけですよね。
これが、ミラーの星の津波が巨大な理由なのです。
なぜ、わからなかったのか?
ミラーからの報告が届かなかった理由は、星全体が揺れていたことにも関係ありそうです。
水の惑星は一部が振動していたのではなく、そもそも星全体が揺れていました。
動く場所の内部に入っても、探索機自体が着陸せず浮いている時、その影響を受けません。
大きな中空のボールの半分に水を入れて、水ではないところに自分が浮いていると思ってください。
どれだけボールを揺らしても、ボールが揺れているって体感できませんよね?
更に、自分が水に釣り合った状態でいたら、同じく外側が揺れていることを体感できません。
厳密には、重力、引力、慣性が関わってくると思うのですが。
アメリア達も、探索機から降りて、立てなかったり揺れたりしていなかった。
クーパーが見つけて叫ぶまで、津波に気付いてもいなかったですよね。
外側から見たら大きく揺れていても、中に入って津波を見るまで体感できない。
体感できないのだから、事前に報告などできるはずありません。
運が悪ければ地表(海面?)に降り立ってすぐに、巨大な津波に襲われ亡くなる可能性もあるのです。
アメリア達にしてみれば何年という時間を待っていたとしても、ミラーからしたらほんの一瞬。
水と有機物がある!と浮かれた状態でなら、より気も緩んだかもしれない。
最長1時間、最短なら数分以下で津波に気付いて報告するなんて無理な話ですよね。
アメリア達も、重力の影響を受け受信や送信が不安定になっていました。
ミラーから連絡がないことを異常事態と予測するのも難しかったと思われます。
水の惑星の1時間が7年になる理由
宇宙に飛び立ったクーパー達は最初、ミラー博士が調査していた「水の惑星」に向かいます。
クーパー達は結果として、地球の時間にして23年費やすことになります。
なぜ、そんなことが起こったのか解説します。
クーパー達は一番近いという理由でミラー博士が探索に向かった水の惑星を選んでいます。
水の惑星は、ガルガンチュアという巨大ブラックホールの一番内側にある星。
【ガルガンチュアの謎】と言う記事でも解説しましたが、ブラックホールの重力の影響で地球とは時間の進み方が違います。
重力が大きければ大きいほど時間は遅れます。
水の惑星はその大きな重力によって、水の惑星の1時間が地球の7年に相当します。
水の惑星は公転によって約1時間に1回、津波が起こっています。
アメリアが降り立って、小型探索の宇宙船に戻るまでに大きな津波が1回。
次の津波が来る寸前にギリギリで宇宙船に戻っていました。
降り立つ準備などを考えたら水の惑星におりたっっていた時間は約1時間前後と考えられます。
この時点ですでに7年が経過しています。
この時、アメリアがミラー博士の残したであろうブラックボックスをみつけます!
すぐ戻れというクーパーの言葉に従えず、データーを回収するのに必死で、アメリアは戻るのが遅れてしまいます。
間一髪のところで船内に戻れたものの、波の衝撃により宇宙船の一部が破損。
ロボットのCASEが修理にかかる時間が45分だと言っていました。
ホームから向かう時間、滞在時間、修理、帰還に要した時間まで含めて約3時間。
1時間は7年ですから地球の時間にして23年もの時間足止めをくうことになってしまったのです。
CASEが言った重力が30%重い。1.3倍の意味
水の惑星に降りてすぐ、体が重いと言った船員のドイル。
ロボットのCASEが『重力は地球の30%重い』と言います。
この数字で、混乱した人もいるかもしれません。
重力が地球の1.3倍なのに、なぜ1時間が7年になるの?と。
実は、これ大きな誤解です。
細かな描写はありませんでしたが、考察するに、惑星内部の話ではないかと思うのです。
胸まで水に浸かった時、水中の浮力の感じ方は陸上の約30%です。
水の惑星は地球とほぼ同じ大きさ。
水に満たされた惑星と考えたら、重力が地球の1.3倍という意味だったのではないでしょうか?
水中にいる時はあまり感じないけれど、地表に戻るとぐったり体が重く感じますよね。
CASEが告げていた1.3倍とは、その感覚に近い意味のことだと考えられます。
つまり、1.3倍というのは、地球と水の惑星にかかる重力の違いではなく水の惑星の内部で生じている重力。
地球そのもの、水の惑星それぞれの、そのものにおいての重力差と言う意味ではないでしょうか。
クーパー達の動作はスローモーション!?
時間の進みが遅くても動作までゆっくりになっていないのはなぜだろう?
1時間が7年に延びていると考えると、動画で倍速するような動きをイメージして、
地球の感覚でみたら、なんでスローモーションにならないんだろう?
という疑問を感じた人もいるのではないでしょうか?
これは、演出ではなく、実際にもスローモーションにはなっていません。
その理由は、時間の進みが違うからと言って、その渦中にいる人は違いを感じられないから。
感じる時間と過ぎている時間は違う。と言うことです。
外側から見れば過ぎている時間は違いますが、内にいる人間にとっての1時間はあくまで1時間。
そのスローな時間の進み方と同じ時間の流れにいるということなんです。
時間に違いがあるからといって、6万倍以上のスローモーションで動くわけではありません。
ミラーの星で鳴っていた音はカウントダウンだった!
ミラーの星に行ったとき、最初はクーパーの話し声のみですが、探索機が降り立ってすぐ。
クーパーが「急げ時間がない』といった時からBGMに交じって音が鳴りだします。
気付いた人いるでしょうか?
コツ、コツ、コツというあの音は大津波が到達するまで続いていました。
あれ、ただのBGMじゃなかったんです!!
In Interstellar (2014) on the water planet, the soundtrack in the background has a prominent ticking noise. These ticks happen every 1.25 seconds. Each tick you hear is a whole day passing on Earth pic.twitter.com/Qm8e5M5Mjk
— Film Easter Eggs & Details (@FilmEasterEggs) July 22, 2018
翻訳して要約すると…
水の惑星のインターステラーのBGMに使われているサウンドトラックで鳴っている音。
カチカチという音は 1.25秒ごとに鳴っていて、地球上で一日が経過するのに相当している。
あの音はカウントだったんですね。
こんな仕掛けまであるとは!
地球の時間と水の惑星に流れる時間の差がを知らせているだけじゃありません!
私はまるでクーパーの焦りを表現しているようだとも感じました。
よく手術のシーンなどで、待合室にいるとき、時計の音が大きく響いている描写がありますよね?
あれと似ていませんか?
1分1秒が惜しくて、焦るような祈るようなクーパーの気持ちの表現でもあったのかもしれません。
音1つにも表現や心情が込められているかと思うと、こだわりのすごさに改めて驚かされます。
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