オッペンハイマーが日本公開されるまでに世論が相当にもめて、話題になりましたよね。
あれだけ揉めたのに、なぜ日本公開できたのか?
公開後の日本人の反応や評価について根拠を交えつつまとめていきます。
オッペンハイマーの日本公開はなぜ問題になった?公開できなかった理由。
オッペンハイマーという映画は、原子爆弾の開発に深く関わった人物。
ロバート・オッペンハイマーの物語です。
日本の歴史、特に広島と長崎への原爆投下と強く結びついています。
日本は、第二次世界大戦で原子爆弾の被害を受けた唯一の国です。
その経験は今なお多くの人々の心に残っていますよね。
映画『オッペンハイマー』は、そういった歴史的背景を持つ日本にとって、感情的にならざるを得ない部分があったといえます。
それ故に、ポスター1つとっても、日本が納得できる形での公開が望まれたのではないでしょうか。
オッペンハイマーが日本公開できた理由
それほどまでにネットで話題にされていた『オッペンハイマー』。
日本で公開できた理由はなぜだったのでしょうか?
映画のテーマとなっている「原爆」。
1つ目の理由は、公開を阻んだ理由と同じですが、だからこそ逆の理由にもなると感じたんです。
この原爆の開発に関する物語は日本にとって、とても大切な意味を持ちます。
だからこそ、感情的にはどうしても良いイメージはわいてきません。
私も、もちろん「原爆」のことは知っていました。
しかし、私は、この映画が話題にあがった時、もしかして違う側面で伝えたいことがある映画なのかも?
と思ったんです。
原子は爆弾で使えば脅威ですが、物理学の可能性としてみた時には、ただ切り離せば良いもの。
とは言えない部分があると感じていました。
過去の大惨事を正当化するつもりは毛頭ありません。
しかし、もしかしたら、違う何かがあるとしたら?
と興味が湧いたんです(何しろ、クリストファーノーラン監督の作品ですし)
本作はオッペンハイマーの苦悩が描かれるものの、広島、長崎への原爆投下や悲惨な被害の実態を直接的に扱うシーンはない。
実際には、悲惨なシーンはなく、どちらかというと、開発したことに対しての苦悩が描かれている。
というものでした。
そういった意味では、変な肯定要素や、揶揄やねつ造的なものではなかった。
また、背景にあった真実を描きたいという部分もあった。
人間の苦悩や可能性、対立などが描かれた深い映画であると判断されたからこそ、公開できたのではないでしょうか?
アカデミー賞受賞という高評価
2つ目の理由として、アカデミー賞にノミネートされるほどの高評価。
こちらも公開に向けての追い風になったのではないでしょうか?
監督はあのクリストファー・ノーラン監督です。
日本で公開される前にも、多くの国で上映されていました。
今はネットやSNSで情報が即座に届きます。
否定であれ、肯定であれ、様々な評価が各国から上がってくるのです。
その評価を目にし、映画としての質の高さがうかがえたこと。
これらの点から、日本人の関心を引いたのではないかと思うのです。
クリストファーノーラン監督は、別作品「インターステラー」からもわかるように、人間らしさをしっかり出してくる監督です(私の主観ですが)
さらに、そこに物理学の世界観を上手に取り入れて非現実的な状況をリアルに表現し、深みのある映画を作る監督だと思っています。
ノーラン監督がタブーとも言えるような「題材」をテーマにどう切り込んでいくのか?
監督の個性や過去作品の名声も手伝って、映画の注目度を一層高めたのではないでしょうか?
ノーラン監督の作る世界観は哲学的なテーマが含まれてもいます。
もちろん、公開にあたり、センシティブなところはあったでしょう。
その修正を重ねられたことによって、
感情的な要素が解消され、深みのある哲学的な部分や、オッペンハイマーという人物の背景。
を軸とした映画として『オッペンハイマー』の日本公開が実現したといえそうです。
オッペンハイマーの公開日はいつ?公開中止期間
日本公開日がいつだったかというと2024年3月29日。
吹き替え版上映は無く字幕スーパーのみでの公開となりました。
アメリカでの公開は2023年の7月21日なので、およそ8ヶ月後に日本公開となりました。
近年で、これだけの長い期間が空いて公開になることは珍しいように思います。
一番考えられる理由としては、夏の公開を控えたということ。
8月の公開は、終戦や原爆投下がある時と重なるため配慮されたのだと思います。
オッペンハイマーがアカデミー賞にノミネートされ各賞を受賞したのは2024年の3月11日。
さらに、この時のスピーチで、平和へのメッセージを伝えられていました。
結果、感情的なものへの配慮と、より興味が高まっての日本公開となったように感じます。
日本での興行収入は18.7億円。
2024年公開の映画で、日本の洋画の部門で6位(世界では58位)という健闘ぶりでした。
オッペンハイマーを見た日本人の反応や評価。
では、実際に公開されてからの日本での反応や評価はどうだったのでしょうか?
やはり、想像通りというか…。
映画自体に良い悪いをつけられるようなものではない。
というのが、高評価をつけた人も低評価を感じた人も共通していました。
①理不尽でどうすることもできない境遇に感情移入する一方で、日本人だからこその捨てきれない憎しみみたいなものがあって凄く苦しかった。
吐きそうなくらいしんどくて、もう観たくないなってのが素直な感想。でも映画館でみれてよかった。②自分が正しい事をしているはずなのに、のちに起こる、起こりうる事を考えたら、恐ろしくなってしまった葛藤と罪悪感がかなり繊細に描かれていたと思う。
〔中略〕
人の悪い所も忠実に描かれている作品。③基礎知識無いので難しかったが被爆国民としては胸糞悪かった。映画としても、余白余韻が全然なく字幕追うのが精一杯でダイジェスト版観ている様だった。
(引用元:filmarks映画/評価口コミ)
という一方で
①当時の科学者の葛藤やその後の対立などをわかりやすく映し出していた。途中の原爆の実験のシーンは本当に緊張感がすごく手に汗握った。まじおもろい。
②〔一部抜粋〕面白かったとかではなく、観てよかったと思える映画ではあった。もう2度と原爆の被害国がでないよう祈るばかりです。
③鑑賞前「オッペンハイマーの栄光と没落」予告の台詞が気にかかった。
よく評される“挫折”ではないのだ。化学者の心情を別として、周囲の力学によって賞賛も弾劾も社会性の中に巻き込まれていく。〔中略〕彼もまた、所謂、アメリカの赤狩りにあっていた、だけでも充分かもしれない。配給会社のビターズ・エンドに感謝を。劇場で公開され観ることができて良かったと思う。
(引用元:filmarks映画/評価・口コミ)
科学者として追い求めるもの。
人としての苦悩や罪悪感。
立場や建前、こんなはずでは…というやるせなさ。
やはり、日本人としては感情無しにみることは難しいのかもしれない。
けれど、それだけではない。
嫌悪故に「そうではないはずだ」と思いたかった部分ってあると思うんです。
そんな葛藤に少しだけ近づいていくような。
どこかで知りたかった「開発者の心情」部分に触れている映画だと感じます。
科学技術と、人間として守るべきもの。
これは、いつの世でも繰り返され、突きつけられる問題だと思っています。
全く、経験していない世代が増えてきたからこそ、心に刻んでほしい。
そう思えばこそ、日本でも各国でも受け止め、考えるために見てほしい映画だと思います。
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